不振が続き危機感強い韓国/カーネクスト 2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™ 東京プール 対戦国紹介
WBCでは第1回でベスト4入り、第2回で準優勝、2008年の北京オリンピックでは金メダルを獲得するなど、日本最大のライバルであり、世界屈指の実力を誇った韓国。だが、第3回、第4回のWBCでは1次ラウンドで敗退し、一昨年の東京オリンピックではメダルを逃すなど不振が続き、今大会に向けても危機感が強い。
韓国代表として出場するトミー・エドマン
不振の最大の原因は、若手投手の伸び悩みだ。今回もキム・グァンヒョン、ヤン・ヒョンジョンといったベテランの左腕が投手陣の柱になる。結果を残すことでイ・ウィリ、ソ・ヒョンジュンといった若手を育てることが、韓国にとっては切実な課題である。
2021年にMLBで二塁手としてゴールドグラブ賞を受賞したトミー・エドマンをメンバーに加えたのもそのためだ。エドマンは母親が韓国人だが米国籍で、韓国籍でない選手がメンバーに入るのは初めて。少年時代から少数精鋭の育成環境で育ち、身内意識が強い韓国球界としては異例の選抜だ。これで二塁手エドマン、遊撃手キム・ハソンというメジャーリーガーによる強固な二遊間コンビが形成され、国際経験の浅い若手投手にとっては心強い存在になる。
野手で注目されるのはイ・ジョンフだ。昨年は首位打者、打点王のほかに、安打数、出塁率、長打率、塁打数などでも1位でMVPを受賞した。中日でもプレーした父親のイ・ジョンボムも1994年に受賞しており、韓国プロ野球初の親子でMVPを受賞した。イ・ジョンボムは第1回WBCで韓国代表の主将として韓国躍進の原動力となった。今回イ・ジョンフが活躍すれば、親子で活躍というWBCの新たな歴史となる。イ・ジョンフは今シーズン終了後にメジャーリーグ移籍を表明しており、その意味でも大会に向けての意気込みは強い。
イ・ジョンフ以外にも、昨年の本塁打王のパク・ピョンホ、通算本塁打429本のチェ・ジョン、次世代の大砲のカン・ベクホ、捕手ながら5年連続で本塁打20本以上を記録しているヤン・ウィジなど、長打力のある選手が揃う。昨年通算2000本安打を達成した経験豊富なキム・ヒョンスが主将を務める。
このように打線は強力だが、準優勝した第2回のチームに比べ、機動力はそれほどでもない。昨年30盗塁以上はキム・ヘソンとチェ・ジフンだが、2人とも先発出場は難しそうだ。その点でも昨年メジャーリーグで32盗塁のエドマンへの期待が大きい。エドマンが韓国の野球にどれほど適応できるかが、韓国復活のカギとなる。
2022東京オリンピックでも活躍したイ・ジョンフ
監督はKTの監督であるイ・ガンチョルが兼任する。現役時代はサイドスローの投手で、元中日のソン・ドンヨルとともにヘテ(現KIA)の黄金時代を築いた。4年前にKTの監督に就任。2015年から参入した新生チームを初優勝に導いた。だが、イ・ガンチョルは代表監督の経験はない。第1回、第2回で監督を務めたキム・インシクが勇退し、ほかの有力候補もここ数年の不振やトラブルで監督の人選から外れた中での抜擢だ。
「勝てば英雄、負ければバッシングの嵐」という落差は日本以上に大きい。それだけに危機感が強く、プールBの山場となるオーストラリア戦と日本戦には並々ならぬ思いで臨んでくるだろう。