過去4大会では接戦も複数回の「未知なる相手」中国/カーネクスト 2023 WORLD BASEBALL CLASSIC™ 東京プール 対戦国紹介
日本代表(侍ジャパン)と中国代表は過去WBC4大会すべてで対戦し日本が全勝。中国野球はまだまだ発展途上にあり、両チームの間における実績の差や背景の違いを考えると大きな実力差がある。
2017 WORLD BASEBALL CLASSICでは7対1で中国に勝利した日本
侍ジャパンからすれば「コールドで勝ちたい相手」と認識されることも多いのだが、4度の対戦でコールドになったのは2006年に行われた第1回大会(18対2の8回コールド)のみ。以降、2009年は4対0、2013年は5対2、2017年は7対1とそれ以降は大差で圧勝となった試合はない。
初対戦の投手を小刻みに投入されると、どんなレベルの投手であろうとひと周り目で打ち込むのは難しい。そんな国際試合の難しさが反映されていると言っていいスコアなのかもしれない。洗練されていない粗いメカニックで癖のある球筋のボールを投げ込んでくる中国代表投手陣は、侍ジャパンの打者にとって捕らえどころが難しい側面もある。
左打者の多い侍ジャパン相手に先発することも予想される41歳の蘇長龍は、14年ぶりに代表選出された超ベテラン左腕。左腕が背中側で一度隠れるテイクバックと、130キロ台中盤のボールを低めに集めてくる老獪な投球は健在。2008年のアジアシリーズでCPBL(台湾)王者相手に快投を見せるなど、侍ジャパン打線のひと周りを封じて緊張感のある展開をもたらす能力は十分に持っている。中国のMLBアカデミー出身でマイナーリーグでもプレーした経験を持つ伊健、宮海成ら本格派の若手投手が先発してくる可能性もあるだろう。先発がある程度試合を作ることさえできれば、初見の投手を中盤は細かく投入して、後ろには最速157キロの中国系アメリカ人アラン・カーター、韓国プロ野球で4年連続50試合以上に登板している朱権など、力のある投手が出てくるシナリオも考えられる。今回はNPB勢を相手にした強化試合で準備を進めてきた侍ジャパンにとって、「知らない投手」への対応力が問われる試合となりそうだ。
宮海成投手(2018年 第18回アジア大会)
一方の打線はトップレベルの投手との対戦経験が少ないことが課題となっていたが、2018年から2019年において代表候補選手をアメリカ独立リーグ・アメリカンアソシエーションのテキサス・エアホッグスに一気に送り込むという強化策を行っている。19年末のアジア選手権の3位決定戦では学生主体の韓国代表に8-6で打ち勝つなど、150キロを超える投手への対応力は上がってきている。同試合で決勝タイムリーを放った羅錦駿や、MLBアカデミー出身のキャッチャー欒臣臣あたりが国内組では打線の中心となってくるか。
今回の代表チームでは、中国出身の両親を持つ真砂勇介(前ソフトバンク、今季から日立製作所)もメンバー入り。長打力と外野守備を兼ね備えており、攻守において軸になってくるものと思われる。
侍ジャパンにとって「高い注目度の中の大会初戦」という意味では2009年大会の中国戦と状況がよく似ているが、その際は4対0で勝利したものの中国と同じ5安打しか打てていない。初戦特有の緊張感もあって終始重苦しい試合となってしまっていたが、今回も同じような状況に陥ることも考えられる。
中国としては、2008年の北京五輪の予選リーグで韓国を相手に延長11回まで持ち込んだ時のような試合の再現を目指す。全勝で金メダルを獲得した最強チームを土俵際まで追い詰めた試合は中国代表におけるベストゲームの一つだ。「初戦」「勝って当たり前」という侍ジャパン側の緊張感の高さも味方につけて、ジャイアントキリングを虎視眈々と狙っている。